日本歯科評論 2007年9月号
福原達郎
P.53と54より
図4 前突感が悪化した未成年者の例
(症例提供:関崎和夫先生(新潟県見附市開業))
a:初診時10歳0ヵ月の男子.上顎前突が著しく,非抜歯での矯正治療は無理と説明したが,その後,来院せず.
b:3年後,再来院.「他医で拡大床矯正を受けたが,噛むことができなくなった」という.上顎の前突と下顎の後退が著しい.
上下顎前突の「河童天国」は漫画だから可愛いのであって,非抜歯の結果の上顎前突や,ものが噛めない咬合状態は,明らかな医療過誤であり,気の毒では済まされない(図4).この症例もそうだが,特に拡大床装置による非抜歯の失敗例が跡を断たない.
「抜くべき歯を抜かないのは,抜いてはならない歯を抜くのと同じである」というケースの言葉は,時空を超えて現在なお重い響きがある.
(赤線:浅野)